ちゃねこノート

ゲーム/趣味その他感想置き場

俺たちに翼はない 感想 ─つばさはないこともない─

これは"たとえば"の話だけど、ぼくらが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン。

 

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ブランド:Navel

シナリオ:王雀孫

発売日:2009年1月30日

前置き

記念すべき(?)第一稿を何にしようかと考えて、個人的に思い入れのあるタイトルを選んでみた。

というのも過去、PCの換装やらなんやらを経てもいつもインストールして繰り返しプレイしていたりするもので、初プレイは相当昔なのに、記憶は新しいから…。

という話は隅に置いてゲームの紹介。

 

このゲームは2009年にNavelから発売された恋愛ADVです。

複数の主人公の視点で進むオムニバス形式(正確には独立した短編、とは少しニュアンスが違うかもですが)のストーリー展開になっています。

特筆すべき点は、多彩で特徴的なキャラクター達の掛け合いが聞いてて全く飽きず、最後まで駆け抜けられる点だと思います。

それ散る*1や、『プリコネ』*2のなかよし部のシナリオライターとしても有名な王雀孫先生の軽快でテンポの良いテキストが癖になる作品です。

複数主人公というと地味に食指が動かない勢がいるような気もしますが、このゲームについては敢えて、問題がない。と断言しておくことにします(え

 

以下、ネタバレ無し感想

何かが欠けてしまった主人公たちが、特別から普通になる物語

この作品は、普通とは違う(特別)な主人公たちが、多くの人達との関わりを経て普通になっていく物語です。

"特別"というと、一見何かが人より抜けているように思えますが、実はそうではなくて、ただ"普通と違う"ということなんですよね。だから、他人より突き抜けているのではなく、欠けているだけだとしても、それは特別ということと同義だと思います。

主人公たちは、多くの人と触れ合いながら、その欠けたものを埋めていきながら、成長していく…。

そんな(めっちゃ端折った)物語です。

生きた世界観、生きた人物達の心地よさ

私的に、ことノベルゲームをプレイしたり、小説を読んだりする上で特に大切だなぁと思うのはやはり、その世界観や人物が地に足ついていることだと考えています(あたりまえかな?)。

大きな風呂敷を広げようが多くのキャラクターを登場させようが(或いはその逆も然り)、結局その世界が世界として実感をもって受け止められること(=没入感)が物語を楽しむうえで大前提となる要素だと思うわけです。

その点で、この作品の世界や人物達は見事に上記の点を満たしていて、読んでいて楽しく、自分がその世界の一員としての実感があったと思う。

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(AfterStoryの画像しか手元になかった)友人に映画に誘われた主人公とヒロインの掛け合いの一つ。常にこんな掛け合いで進んでいく。

何となく自分だけが置いてきぼりだったり、寒くてノれないギャグの応酬だったりとかはなく、あくまで日常的な会話の延長戦上にあるものとして笑えるテキストって、今日日書けるライターさんは多くないように思う。

(こてこてのギャグをマシンガンみたいに連射していくアサプロやSMEEなんかが嫌いというわけでは決してないんだけど。むしろ好きなほう)

深いテーマってわけじゃない、けれどただのギャグゲーではない

このゲームって別に、『素晴らしき日々*3や『家族計画』*4に代表されるような小難しい考察や深いテーマを持った作品、というわけでは多分ないです。

それでも、芯みたいなものはきちんとあって、それゆえただ軽快なテキストで飛ばしていくだけのギャグゲーと呼ばれる類のシナリオとはまた違うと思います。

とってつけたようなシリアスはなく、世界観や人物をより理解するエッセンスとして、悲しい/辛い出来事が描写されている。

それは物語上必要な出来事であって、あってもなくてもいい出来事ではないんですよね。

 

俺たちに、翼はないこともないんじゃないかっていう話

『知ってるかい。世界なんて、おまえらみんなたちの心の中にあるチャンネルをひねれば、いくらでも変わってしまうものなんだぜ』

この物語における主人公やヒロインの多くは、目の前の現実や壁を前にあがいていたりいなかったりします。

自分という閉じた世界の中でその壁を見据えると、とても高くて、自分には乗り越えるだけの力(翼)はないように思えてしまう。

だけど、多くの人と関わって、自分以外の人間の考えを受け入れたりして、自分だけしかいなかった閉じた世界が広がりを見せた時に、

俺たちに翼はない"こともない"って思えるほどに成長した主人公たちを見ることができるのでしょう。

 

 

以上、感想でした。

ネタバレ無しだし、あまり長々書く気(力)はなかったので色々はしょってしまった。

ほんとはそれぞれの主人公についても書いてみたいけど、もう少し文章をまとめる地力がついたらかな…。

 個人的に、所謂ギャルゲーエロゲーといわれるものを初めてプレイするならお勧めのうちの一つです。気になったらぜひ。

 

 

めも)3バカすこ

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作中の面白トリオ。基本DQNだけど良い風DQN





 

*1:おれつばと同じ布陣によるNavelの過去作『それは舞い散る桜のように

*2:CyGamesのソシャゲ『プリンセスコネクト』

*3:ゲームブランド ケロQの作品。巷では『哲学ゲー』なんて呼ばれたりしている

*4:ゲームブランド D.O.の作品。その名の通り家族をテーマにしたゲーム

このブログについて

1.ブログの経緯

最近趣味や仕事の関係で文筆業じみたことをする機会を頂いた際に、自身の余りの国語力のなさに衝撃を受けてしまったため、訓練と実益(色んな人に自分の好きなゲームを知ってほしい)を兼ねて開設しました。

Twitter等にのせきれない長文とかはここにのっけていこうかなと思います。

まとめノート或いは雑記というやつなので、このブログの記事を読まれる方はそれくらいの温度感で読んで頂ければ幸いです(それは果たして訓練になるのか?)。

 

2.記事の更新について

気まぐれ不定期更新です。

最新ゲームでも昔のゲームでも、ふと思い出した時に感想や思ったことをまとめたり

趣味のこと書いたりします。

この記事を書くのにも体力を消耗してると現在進行形で感じる程には貧弱なのでよろしくおねがいします。

 

3.本ブログについて

本ブログ内で執筆する内容(例えばゲームの感想)はあくまで個人的主観と浅薄な知識に基づいたものです。

あとは色々と間違った解釈や引用込みで「こんなことだったんじゃないか?」みたいな批評めいたことを書いてることもあるかもしれないですが、そういう時はそっとスルーないしコメントでこういうことじゃね?って指摘してくれると、嬉しいです。

願わくば、このブログを切っ掛けに(個人的な)名作良作が、より多くの人に知ってもらえることを願いつつ(多くの人に知られすぎるのがいいかどうかは棚に上げておく)

最後に、度々ですます体とだである体が混ざりますが、仕様です。